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村上龍,伊藤穰一 "「個」を見つめるダイアローグ"

日本から外を見ている村上と、外から日本をみる伊藤の対談。日本に対する伊藤の問いかけに村上が答える形で話が進む。
面白かったのがオタク文化のところ。

村上キューバ革命と日本の70年安保や全共闘を比べるのは、どうかなという思いはあるけど、でも全共闘運動って革命をなぞっているというか、やっぱりどこか趣味的なところがあったんだと思う。
(中略)
伊藤 妹がタオクの研究をしているって言ったじゃない。彼女がドイツ人のジャーナリストにインタビューされたときの話なんだけど、そのインタビューアーが、セックスよりもポルノのほうがいいなんて言っているのね。つまり、セックスそのものより、セックスをなぞることができるポルノがいいっていうわけ。
オタクの世界は、そういうところがあるよね。(中略)
村上 たしかに、オタクってなぞることの究極だと思う。なぞって追求してどんどん深めていって、その深いところでちょっとした違いを楽しむ。洗練の極致で、外国には真似の出来ない洗練だから、そこから世界を席巻するアートも生まれるんだろうね。でも、僕にはどうだっていいけどね。

「どうだっていい」のズル剥けな発言が村上らしい。
その後、蒙古来襲以来侵略されていない=余裕があったので趣味的になった、クローズドな世界だったのでソフィストケートされていった、その延長線上がロボット文化だ、と続く。

「個」を見つめるダイアローグ

「個」を見つめるダイアローグ