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"スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~"

スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~

スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~

スペースシャトル(SS)は過ちという宇宙開発業界?の半ば常識を分かりやすく説明されており、楽しめた。

●そもそもコンセプトから誤っていた
70年代、アポロ計画終了にともなう予算削減によって、コスト減の要請がでてくる。
アポロを月まで届けたサターンロケットは、実績もあり、量産化によるコスト減も見込まれた。
しかし、NASAは、再利用によって運用コストを下げるSSを選択した。
ポイントは、開発・製造コストは高いこと。理由は、アポロ計画の体制(雇用)維持という政治的な理由(日本のゼネコンと同じ構図)。

●翼をつけたのが間違い
ソ連の衛星を奪取してすぐ帰るなどの軍事的な理由で翼をつけた。
しかし、翼は、帰還する最後の1時間(実質15分)しか使われない。
また、翼のため重くなり、強力なエンジンが必要となり、金がかかる。
また、弱点にもなる。コロンビア事故は外部タンクからはがれた断熱材が翼を破損して起きた。

●その結果
再利用可能で安いという「売り」は、逆にコスト高を招いただけでなく、チャレンジャー・コロンビア事故を引き起こし、さらに、国際宇宙ステーションなどの宇宙計画をも狂わせた。
アメリカもSSの失敗を認め、国際宇宙ステーション計画も半ばの2010年にSSを引退させ、火星有人探査へ舵をきった。

最後に著者は、日本の宇宙計画について、20年後にアメリカを超えるなど眠いこといわずに、今できることを着実にやれ、と述べている。僕はそれには反対だ。
もう日本がロケットを夢見るのは止めたらどうか?
アメリカもロシアも欧州も中国も何十年前からロケットを持っている。コンピュータシミュレーションで試作レスの時代に、H2ロケットを何度も失敗している日本は不向きではないのか。大きさは全く異なるが、規模ではいい勝負のCPUやOSしかり、どうも日本はその辺のインフラ的なものが得意でないようだし。
そもそも宇宙に行くのが目的ではない。宇宙で何ができるか考えるのが日本の仕事ではないだろうか?